エアーインパクトレンチのハンマー構造
エアーインパクトレンチとは
エアーインパクトレンチは動力をエアーコンプレッサーに頼っているため、電動タイプのインパクトレンチと比べて大きい動力を得られる点が特徴です。電動タイプは主にコンセントを差して使用するため、家庭用や簡易的な場所で用いられます。エアーインパクトレンチはコンプレッサーのサイズが大きく、自動車工場や各種生産ラインなど、大規模な工場で用いられます。
なお、エアーコンプレッサーはエンジン式が一般的で、稼動させるためにはガソリンを燃料として使用します。力強い動作が特徴で、エアーインパクトレンチ以外にも幅広い用途に使用することができます。
エアーインパクトレンチのハンマー構造について
エアーインパクトレンチは内部構造であるハンマー部により、いくつかの種類に分類されています。ここでは、ツインハンマー、シングルハンマー、ピンクラッチを見てみましょう。
1回転で2個のハンマーが交互に1回打撃し、合計で2回打撃することができます。軽量で耐久性が高い上に締め付け感の反動が少なく、一定時間の作業ができる性能が特徴です。デメリットは、振動・打撃音があることやトルクが不安定な点です。使用時には騒音や安定性に注意しましょう。

1回転の間に1打撃を与えます。強力な締め付けが可能で、修理や部品交換が比較的簡単です。さらに、小型で軽量、締め付けスピードが速く作業効率がよい他、締め付けの反動が少ない点が挙げられます。デメリットはハンマー打撃式のため振動や打撃音があり、締め付けトルクが安定しにくい点です。また、ツインハンマーと比べて耐久性に劣っている点も挙げられます。

1回転の間に1回の打撃となり、振動が少ないという特徴があります。スムーズなトルクが得られることから、トラックのエンジン作業など、重工業に使用されることが多い方式のハンマーです。

他にもピンレスハンマー、Vハンマー、トルクコントロール式、オイルパルス式、Nクラッチ式などがあります。
また、ハンマーの形状は大きく分けて3つあります。生産ラインで上下に動かすストレート型、組立作業で前後の動きに使うピストル型、狭い箇所にも使用できるコーナー・アングル型があります。
エアーインパクトレンチの使い方と使用上の注意
エアーインパクトレンチの使い方は、まずコンプレッサーに空気を溜めて圧力がかかるまで待ち、ナットに合わせたソケットに交換しておきます。ナットの奥までしっかり差し込んだら、レバーを引いて使って下さい。
使用する際に注意したいのが、エアーインパクトレンチの締め付け過ぎです。トルクについては機械ごとに表示されており、一度設定しておけば同じ作業ができますが、あくまでも参考値なので必ずしもその通りになるわけではありません。また、エアインパクトとレンチは動作させる際に音がするので、日中ならあまり気になりませんが夜間の使用には騒音に注意しましょう。
エアーインパクトレンチを使ったタイヤの交換方法
エアーインパクトレンチを使用する例として、ここでは、タイヤ交換で使用する際のメリットと注意点を見てみましょう。
タイヤ交換の際にはボルトを外す必要があります。通常は手動で行われていますが、エアーインパクトレンチを使用すると、短時間かつ大きな力を必要とせずにタイヤ交換ができます。季節ごとのタイヤ交換や、パンクした際のタイヤ交換、スタッドレスタイヤへの変更時にエアーインパクトレンチは活躍します。
また、エアーインパクトレンチを使用すると、ボルトに刺激を与えながら回すことができ、ジャッキアップしたままタイヤ交換をしてもタイヤが回らない点もメリットのひとつです。通常のレンチの場合、締め付け作業は一度車を下ろさなければならず、作業効率が良くありません。エアーインパクトレンチにすれば作業工程が1つ減り、短時間でのタイヤ交換が可能となります。
ボルトやナットを素早く締めたり緩めたりするなどの作業効率を良くしたい方は、エアーインパクトレンチの使用を検討してみて下さい。