農薬の種類と使用上の注意
農薬の種類と特長
農薬の散布方法には様々なものがあります。それぞれの散布方法とその特長を種類別に紹介しましょう。
液状の原液、または粉などの固体の状態で販売される農薬です。少量の薬剤から大量の散布液を得ることができるので、コストも安く、大量散布を行いたい時に向いています。 液剤、乳剤、固体の有効成分を水に分散させて使用するフロアブル剤、固体を水に溶かして使用する水和剤など、方式も様々です。
水で薄める農薬の使用の際は、決められた希釈濃度を厳守し、間違いがないかどうかよく確認しながら希釈液を作りましょう。例えば500倍に薄めて使用する農薬の場合は、10リットルの希釈液を得るためには20ml(またはg)の農薬が必要です。
希釈の際は、展着剤を併用することで効率的に希釈することができます。作成した散布液の保存はできませんので、一度きりの散布で使い切るようにしなければいけません。
水で薄めず散布する農薬には、薬液を原液のまま噴霧するエアゾール剤、スプレー剤、シャワー剤など、または固形物を散布する粒剤や微粒剤などがあります。そのまま使用できるため取り回しが簡単で、すぐに使用できます。 固形タイプのものは遅効性に優れ、数ヶ月間効果が持続するものもあるため経済的です。
農作物や商用作物などを育てている農耕地で使用できる農耕地用農薬と、それ以外の駐車場や墓地、住宅、運動場などで使用する非農耕地用農薬の二種類に分類できます。非農耕地用の農薬を農耕地に使用してはいけません。
除草効果の種類
農薬の中でも除草効果のあるものを除草剤といいます。除草剤は、その作用の仕組みによって3つのタイプに分類できます。
植物の葉や茎から薬剤が吸収され、除草効果をもたらすものです。植物の地上部分にかかるように散布します。根から吸収されて作用することはありません。
植物が生えている土壌に対して散布するものです。雑草が生え始める前、または雑草がまだ繁茂する前の若い時期(草丈20cm未満)に散布します。
葉や茎から吸収された有効成分が植物に浸透し、根に到達して根こそぎ枯らす効果のあるものです。
除草剤の使い方
除草剤の使用時には、安全のために用法と用量を正しく守ることが大切です。その使用法について、基本的なポイントを覚えておきましょう。
散布時には、作業者の身を守るために、農薬の霧を吸い込んだり皮膚に触れたりすることがないようにすることが必須です。マスク、手袋、長袖の衣服、また必要に応じてゴーグルの着用が望ましいでしょう。
農薬の中には、雨で流れ落ちて効果が得られないタイプのものがあります。特に、葉茎処理の農薬を使用する場合は、天気に影響されやすいので気象条件の確認を必ずしておいてください。
散布時にはペットや人間への影響に十分配慮します。人が侵入する可能性のある部分には、散布後しばらくの間はロープや柵などで、念のために進入禁止措置をとると良いでしょう。
使用場所 | 除草剤の種別 | 除草剤の用途 | |
---|---|---|---|
農作物を 育てている場所 |
農耕地用 | 素早く根まで枯らしたい! | 浸透移行性液剤 |
根まで枯らすと地崩れが… (畔・傾斜地など) |
葉茎処理液剤 | ||
長期間雑草を 生やしたくない! |
土壌処理液剤 | ||
特定の種類だけ枯らしたい! | 選択性除草剤 | ||
庭・駐車場など農作物を 育てていない場所 |
非農耕地用(※) | 素早く根まで枯らしたい! | 浸透移行性液剤 |
長期間雑草を生やしたくない! | 土壌処理粒剤 | ||
とにかくコケを落としたい! | コケ駆除剤 | ||
芝生の中の雑草だけ退治したい! | 選択性除草剤 |
(※)非農耕地用には、農薬登録のないものと、農薬登録のある緑地管理用や芝用除草剤があります。
いずれも農耕地には使用できません。
農薬登録なし・・・駐車場や線路などの農作物が存在しない場所で使用可能
農薬登録あり・・・公園、庭園、堤とう、駐車場、道路、運動場、宅地などの農作物が存在しない場所で使用可能
農薬は正しい方法と製品を選べば、作業の効率化にも大きな効果が得られるアイテムです。安全性に十分留意しながら、用途にあった農薬選びをしましょう。