工具の通販モノタロウ 素材(切板・プレート・丸棒・パイプ・シート) アクリル、ポリカーボネート、塩ビ、PETの違いと特徴

アクリル、ポリカーボネート、塩ビ、PETの違いと特徴

透明プラスチック材料として広く使用されているアクリル、ポリカーボネート、塩ビ、PET。どれも優れた透明性を持ちますが、その特性や適した用途は大きく異なります。本記事では、それぞれの特長や製造方法による違い、実際の使用場面などについて詳しく解説します。

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1. アクリル(アクリル樹脂)

アクリルとは、汎用的なプラスチックの一種で主に以下のような特長を持っています。

高い透明度

アクリルは透明プラスチックの中で透明度が最も高いプラスチックです。可視光線透過領域(420~750nm)の光線透過率は厚み 3mm で約 93%と高く、その透明度はガラスを凌ぎます。ガラスと異なり、割れたときに破片が飛び散らないためガラスの代わりとしてディスプレイなどによく使用されています。

優れた耐候性

アクリルは太陽光・風雨・雪などの気象条件にも優れた耐候性を発揮します。そのため屋外での使用でも変色や透明度の低下が少なく、力学的性質の劣化もプラスチックとしては非常に少ないため、野外の看板等や建築材料にもよく使用されています。

高い硬度

もともと硬度が高く、表面処理によってはガラスに近い表面硬度にまで改質する事もできます。高い硬度を持ちながらも、切断、穴あけ、接着、印刷加工など様々な加工も可能です。

特徴

  • 透明プラスチックの中で最も高く、透過率は約93%
  • 屋外使用に強く、変色や劣化が少ない
  • 表面硬度が高く、加工が容易
  • 荷重たわみ温度: 90℃
  • 傷付きやすさ: 表面が柔らかく、傷がつきやすい
  • 比重: 1.19(軽量)
  • 難燃性: 可燃性があり、火に弱い

適用例

ディスプレイケース、看板、照明カバー、建材、装飾品

押出板とキャスト板の違い

アクリル板には、製造方法の違いにより「押出板」と「キャスト板」の 2 種類があり、それぞれ異なる特長と適した用途があります

・押出板

押出成形による大量生産が可能なため、キャスト板に比べて安価に製造できます。板厚の精度が高く、溶剤による接着加工に適しているため、店舗用の商品ディスプレイケースやアクリルケースによく使用されています。
一方で、キャスト板に比べて硬度が低いため反りが生じやすい、分子量が粗いために切削加工時に加熱部分が融けやすい、といった短所もあります。さらに、溶剤や薬剤による細かいひび割れ(クラック)が生じやすい点にも注意が必要です。

・キャスト板

キャスト板は高い硬度を持ち、分子量が細かいため切削加工やレーザー彫刻加工に適しています。反りも出にくいため、工業用部品や屋外看板などの用途に多く使用されています。
ただし、押出板と比べて製造コストが高く、製法の特性上、板厚にばらつきが生じる傾向があります。また、溶剤に溶けにくい性質があるため、接着加工には不向きという短所があります。
用途や必要な加工方法に応じて、これらの特長を考慮し、適切な種類を選択することが重要です。

2. ポリカーボネート(PC樹脂)

ポリカーボネートは、幅広い産業分野で活用されているエンジニアリングプラスチックで、以下のような特長を持っています。

非常に高い耐衝撃性

一般的なガラスの 250 倍以上の強度を持ち、防弾材料としても使用できるほどの耐衝撃性を誇ります。透明プラスチックの中で最も衝撃に強いのがポリカーボネートです。

温度への対応力

幅広い温度帯で使用可能で、冷蔵庫から電子レンジまであらゆる温度環境に対応します。

優れた難燃性

火災時にも燃え広がらない自己消化性を持っているため、建築分野、電気・電子分野など難燃性を必要とされる分野に幅広く使用されています。
これらの特長から、航空機や自動車などの輸送機器、電気・電子機器、医療機器など、多岐にわたる分野で重宝されています。また、軽量で透明性が高いことから、光学用途にも適しています。
ただし、取り扱いには注意が必要です。表面に微細な凹凸があり、比較的傷つきやすい性質があります。お手入れの際は柔らかい布を使用し、ぬるま湯に溶かした石鹸や中性洗剤(1~2%)で拭くことが推奨されます。シンナーやベンジン、除光液、漂白剤などの使用は、割れや変色の原因となるため避ける必要があります。また、汚れは長期間放置すると除去が困難になる可能性があるため、こまめな清掃が大切です。

特徴

  • 耐衝撃性はガラスの約250倍の強度
  • 透過率は約89%
  • 幅広い温度範囲で使用可能
  • 自己消化性を持ち、燃え広がらない
  • 傷付きやすさ: 表面が柔らかく傷がつきやすい
  • 比重: 1.2(軽量)

適用例

防弾ガラス、建材、自動車部品、医療機器、電気・電子分野

3. 塩ビ(PVC:ポリ塩化ビニル)

ポリ塩化ビニル(PVC)は、塩素とエチレンから作られる塩化ビニルモノマー(CH2=CHCI)を付加重合させて製造される汎用プラスチックです。一般的に塩化ビニール、塩ビ、ビニールなどと呼ばれています。

優れた耐久性と安全性

耐薬品性、耐水性、難燃性に優れているため、過酷な環境下でも使用可能です。また、電気絶縁性が高く、電気関連の設備にも安心して使用できます。これらの特性により、工業用部品から建築資材まで、幅広い分野で重要な役割を果たしています。

高い加工性と接着性

柔軟性があり割れにくい性質を持つため、加工しやすいのも特長の一つです。また、接着強度も十分にあるため、様々な形状への加工や組み立てが可能です。

優れた意匠性

光沢感のある透明性を持ち、豊富なカラーバリエーションが用意されています。この特長を活かし、店舗のディスプレイや室内装飾、各種 POP ツール、サインなど、デザイン性が求められる用途でも多く使用されています。
これらの特長に加えて、お求めやすい価格帯でもあるため、産業用途から一般用途まで私たちの生活のあらゆる場面で幅広く活用されています。

特徴

  • 透過率は85%
  • 屋外使用には不向き、紫外線による変色や劣化の影響を受け易い
  • 化学薬品や水に強い
  • 難燃性が高い
  • 柔軟性があり、加工や接着が容易
  • 比重: 1.45(やや重い)
  • 荷重たわみ温度: 71℃

適用例

建材、ディスプレイ、POPツール、電気絶縁部品

4. PET(ポリエチレンテレフタレート)

PET は、塩ビ・アクリル・ポリカーボネートに次ぐ第 4 の透明樹脂として開発された、非結晶性のポリエステル系シートです。優れた透明性と加工性を備え、環境にも配慮された素材として、さまざまな分野で活用されています。

高い加工性と成形性

アクリル樹脂と比べて柔らかい特性を持ち、冷間曲げや熱曲げ、機械加工、接着、パンチングなどの加工が容易に行えます。また、真空成形や圧空成形といった成形加工にも適しており、多様な形状への加工が可能です。

食品衛生性

食品衛生法に基づく,器具及び容器包装の規格(平成 18 年厚生労働省告示第 201 号)に適合しており、食品に接触する用途でも安心して使用できる安全でクリーンな素材です。

環境配慮

着火しにくく炎が広がりにくい性質を持ち、火源を取り除けば単独では燃焼を継続しない特長があります。さらに、汎用樹脂の中では塩ビに次いで燃焼カロリーが小さい材料であり、地球環境に配慮した樹脂板としても注目されています。
上記の特長に加えて、アクリルに匹敵する高い透明度を持ち、表面の光沢感も相まって高級感のある仕上がりを実現できるます。
環境への配慮と実用性を兼ね備えた素材として、今後さらなる活用が期待されています。

特徴

  • アクリルに匹敵する高い透明度(透過率は85%)
  • 柔軟で、冷間曲げや真空成形が容易
  • 環境配慮: 燃焼時に炎が広がりにくく、地球環境への負荷が低い
  • 食品安全性: 食品衛生法に適合し、食品用途にも使用可能
  • 比重: 1.3(中程度)
  • 荷重たわみ温度: 69℃

適用例

食品包装、ディスプレイケース、医療パッケージ

5.まとめ

透明プラスチック素材には、それぞれに際立った特長があります。アクリルは最高レベルの透明度と優れた耐候性を持ち、ポリカーボネートは圧倒的な耐衝撃性と広い使用温度範囲を誇ります。塩ビは加工のしやすさと経済性に優れ、PET は環境配慮と食品安全性を兼ね備えています。

これらの素材は、時として互いの代替材料となり得ますが、それぞれの特性を十分に理解し、使用環境や要求される性能に応じて最適な素材を選択することが重要です。透明度、強度、耐候性、加工性、コストなど、様々な要素を総合的に判断することで、より効果的な製品づくりが可能となります。

  • アクリルは高い透明度と耐候性を持つが、衝撃には弱く可燃性がある
  • ポリカーボネートは耐衝撃性と耐熱性に優れるが、傷つきやすく加工が難しい
  • 塩ビは加工しやすく経済的で難燃性が高いが、耐熱性は低い
  • PETは環境に配慮され、食品安全性も兼ね備えた柔軟な素材である

これらの素材の特性を理解し、使用目的や環境に合わせて適切な素材を選定することが重要です。

参考:樹脂プレート比較表

特性 アクリル ポリカーボネート 塩ビ PET
透明度 ○(93%) ○(89%) ○(85%) ○(86%)
衝撃強さ △(割れやすい) ◎(非常に高い) △(低い) ○(適度)
耐候性 ◎(優れる) △(紫外線劣化) △(低い) ○(やや低い)
荷重たわみ温度 △(90℃) ○(139℃) △(71℃) △(69℃)
難燃性 △(可燃性) ○(自消性) ○(自消性) ○(自消性)
加工性 ◎(容易) △(難しい) ◎(容易) ◎(容易)
比重 1.19 1.2 1.45 1.3

数値は参考値であり保証値ではありません。
用途に最適な材質を選ぶ目安としてご参照下さい。

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